macOS版Dropboxで勧められるFile Providerの罠っぷりよ

以前、Mac miniで外部SSDを起動ディスクにした時の記事を書いた。

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この時一番引っかかったのは、起動ディスクにしたこととは直接関係がない、DropboxのFile Provider問題であった。これをオンにすると外部ストレージをDropboxの保存場所にできない。これは有名な問題で、この仕様が発表された時Dropboxのフォーラムは阿鼻叫喚であった。

Solved: Disaster: Dropbox removing external disk support f... - Dropbox Community

ユーザのフィードバックを受けて、Dropboxは当面外部ストレージのサポートを継続することを表明した。とはいえ、いつまで続くかはわからないし、そのうちにFile Provider使わなきゃいけないんだろうなぁ……と思って、外部ストレージを起動ディスクにして容量的な問題がなくなったので、利用を開始したのだが、これがもう最悪で、結局Dropboxをクリーンインストールしなおす羽目になってしまった。

目次

帝王Appleの推し進めるFile Provider

Appleが推進するFile Providerという新機能は、オンラインストレージサービスに多くの影響を与えている。この機能は、ファイルの同期やアクセスを効率化する目的で導入されたが、その影響は一概に良いとは言えない。特に、Dropboxのような多機能オンラインストレージサービスには、いくつかの制約が生じている。これは、Dropboxが提供する多くの便利な機能と相反する場合があり、特に有料プランを利用しているユーザーにとっては深刻な問題となり得る。

公式ページの「File Provider での Dropbox for macOS で予想される変更点 - Dropbox ヘルプ」にその制約がリストアップされている。これを見ればわかるとおり、機能の拡張よりも制約のほうが大きい。

保存場所の制限

一番酷いのは、保存場所を勝手に決められてしまうことだろう。従来、Dropboxは保存場所を自由に選べる柔軟性があり、外部ストレージデバイスを同期の場所としてデータを保存することが可能であった。しかし、File Providerを使用すると、Appleが決めたCloudStorageとかいう場所に固定される。この結果として、保存場所がシステムによって自動的に設定され、外部ストレージデバイスを保存場所として選ぶことができなくなる。これはソフトリンクでは誤魔化せないらしい。

この制約は、大容量のデータを扱っているだろうDropboxの有料プランユーザにとって死活問題だ。世の中、Appleの馬鹿高いCTOに付き合える石油王ばかりではない。だが、Appleが20万取る4TB SSD(しかもNVme SSD)を、最近は3万足らずで買える。これを利用しているユーザは僕だけではないだろう。これが使えないなら、Dropboxを利用する意味もないくらいだ。

ただし、これは回避方法がないわけではない。外部ストレージのほうを起動ディスクとして設定すれば、CloudStorageも外部ストレージ上にできるため、この制約を回避できる。しかし、このリスキーな手法をDropboxのためにやるかというと、だいぶ厳しい。

……まぁ、僕はやったけど。そして、その結果、結局オフにしたけど……保存場所だけじゃないんだよなぁ。

LAN内同期の制限

DropboxのLAN(Local Area Network)内同期機能が使用できなくなるという制約がある。LAN内同期は、同一のローカルネットワーク内にある複数のデバイス間で高速にデータを同期する機能であり、これにより家の中にある複数端末を高速で同期させることができる。

しかし、File Providerを使用すると、このLAN内同期が制限される。データの同期がインターネット経由でしか行えなくなり、ローカルネットワーク内での高速なデータ転送が不可能となる。これは非常に不便だ。

この問題については、公式ページには「LAN 経由での同期は現在サポートされていません。」と書かれている。"現在"という言葉があることから、将来的にはサポートされる可能性がある。LAN内同期は非常に便利な機能なので、サポートを期待したいが、いずれにせよ、現時点では使えない。

オフラインアクセスの問題

Dropboxのオフラインアクセスに関する挙動が変わる。僕が最終的に音を上げたのはこの問題のためだ。

多くのユーザーが期待するのは、すべてのファイルがローカルに保存され、オフラインでもスムーズにアクセスできる状態だと思う。しかし、実際にはこの期待に反して、ファイルはローカルに完全に保存されず、ファイルを開こうとするたびにインターネットからダウンロードが始まる。Finderなどのファイラでのプレビュー機能もこの制約によってうまく働かなくなる。

公式ページの文言を見ると、CloudStorage全体にオフラインアクセスを許可することで機能しそうに見えるが、実際にはうまく動かなかった。

したがって、これが仕様通りなのかどうかはわからないが、少なくとも僕の環境ではうまくオフラインに落とせなかったことは事実だ。もちろん、容量は何の問題もない。なにしろ4TBもある。

そしてこれは、僕の場合には死活問題であった。僕は大量の画像ファイルを扱う場合っており、ファイルのプレビュー機能で画像を確認することも多いので、この制約は非常に不便だった。というか、はっきり言って仕事にならない。

結局Dropboxを入れ直すことになったのだが、一度File Providerの利用を開始する設定をしてしまうと、再インストール時にもその設定が残ってしまうらしく、それを忘れさせるのにもまた手間がかかった……。

一言で言うとiCloudになる

僕が主に問題と感じたのは以上だが、Dropboxの公式ページを見ればより多くの制約がリストアップされているので、ユーザは必ず確認しておいたほうがよい。恐らく、ダウングレードだと感じることになるだろう。少なくとも現時点で、わざわざFile Providerを利用する積極的な理由は僕にはないと思うし、正直今後もないと思う。

この制約はAppleに端を発しているが、端的に言うと、iCloudになることをDropboxに強要していると感じた。Appleは昔からクラウドサービスについてはあまり良いものを提供しておらず、実際iCloudを使っている人を僕はほとんど知らないのだが(確か母が写真のために一番安いプランを使っているが、それだけ)、Appleはその理由について反省することもなく、サードパーティをiCloud並に落とすことで解決を図っているようだ。

これらの変更は、大方のフリープランのユーザにとってはあまり気にならないものかもしれないが、ヘビーに利用している有料プランユーザにとっては許容しがたいものだと思う。そしてそれがDropboxに金を払っている層だ。

片手間でやってるGoogleやMicrosoftと違って、Dropboxは専業のオンラインストレージサービスであり、熾烈な競争を勝ち抜き、ビジネスユースのみならず一般のアマチュアにも支持された、この分野の雄である。フォーラムに届けられた阿鼻叫喚からも、事の深刻さを理解していると思うし、なんとか踏ん張ってAppleに負けないでほしいところだ。

……まぁでもどうなってもいいように、NASの準備を着々と進めているのであった……。

さいごに

ところで、この記事はChatGPTに記事を書かせる実験も兼ねて書いたのだが、結局8割方僕の文章になってしまった。別にそんなに時短になってないな。むしろ中途半端にChatGPTナイズされた文章があることで、違和感が大きくなるだけになってしまったかも。うーん。ChatGPTになかなかの文章を書かせている人もいるので、僕の指示の出し方に改善の余地が大いにあるのだろうと思われる。

まぁ、そもそも今回はトピックが特定のサービスに対する批判であったので、八方美人のChatGPTには難しかった、というのもあるかもしれない。ChatGPTはOpenAI社のリスク回避のため、少しでもリスキーな話題はとにかく避けようとするので。

僕の文章を学習させて、僕が書きたいトピックについて、いらんリスク回避をせずに8割方書いてくれるAIを作れんもんだろうか……。

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