iPadのプレス動画には多くの批判的な声が届き、Appleが謝罪した。このニュースはそれなりに大きく取り上げられていたので、ガジェットオタクはだいたい目にしていると思う。
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この動画については色々な意見があると思うが、少なくとも謝罪する程度にはApple自身もやっちまったと認める内容ではあったといえる。
過剰にAppleっぽいと思った
僕自身の感じたことを一言で言うならば、「過剰にAppleっぽい」だった。なんか前にもこんなことしてなかったっけ?と思ったけれども、探して出てきたのはLGが似たようなことしてたという記事だった。
15年前のLG製スマホの宣伝動画、批判殺到のiPad Proのクラッシュ動画に酷似で話題に【やじうまWatch】
LGスマホといえば僕が初めて買ったスマホなんだが、爆熱でウンコだったうえに半年でなくしたという哀しい想い出がある(なくしたのは僕が悪い)。
まぁ、Appleが過去の偉大なメーカやプロダクトを腐して俺たちが新しい歴史を作るみたいなことを言い始めるのは今に始まったことではないので、その演出方法がグロテスクであるということは差し置いて、既視感があるように思った。なので、巷で言われるように「Appleらしくない」とは思わず、むしろ「Appleっぽい」とすら思った。
とはいえ、その演出がグロテスクに過ぎるという指摘はそうかもしれないし、また何を言うかよりもどう言うかのほうに本質があるのもそうだと思う。また何よりも、Appleは昔のようなチャレンジャーではない。紛うことなき絶対王者である。王者のやることではないよな、とも思った。
まぁ、Appleとしては王者でいてはいけない、という気持ちもあるのだろう。確かに今のAppleは王者だ。この10年エコシステムを強固にし、GAFAと四天王のごとく持て囃され、時価総額では一位になることもあった。
しかしではここ10年で新しい何かを生み出したかと言うと、ちょっと難しい。個人的にはAppleSiliconは革命だったが、PC/タブレット市場自体に大きな広がりがあったわけではないし、またハイエンドのほうでは昨今のAIブームもあってNVIDIA GPUに押されている。Apple Carは始まる前に終わった(「終わりを迎えた“アップルカー”の夢、その決断から見えた明らかな理由 | WIRED.jp」)。クックのクソ高メガネはもう誰も覚えていない(「発売からわずか3ヶ月… 売り上げ激減のApple Vision Proはどうなる? | ギズモード・ジャパン」)。
まぁApple Carに関しては欧州のEV掌返しもあって撤退やむなしだろう。これについては粘り強くコアビジネスを誰よりも深くそして現実的に考えていたトヨタに一日の長があったように思う(トヨタは本当にすごい企業だよなとなんだかんだで思う)。XRは個人的には期待もあるんだけれどまだちょっと早すぎるし、多分Metaのほうが真剣に考えている。そしてみんな大好き生成AIでAppleの存在感は非常に薄い。せっかくGAFA唯一のハードウェアメーカであるにも関わらず、その強みをまったく活かせていない。
そんな中で、Appleの中で次が見つからないままに、「このままではいけない、昔のようにエッジにならなくては」というような、危機感というか、の焦りのようなものを個人的には感じられた。それがあの「過剰に」Appleっぽい広告に繋がったんじゃないかという、穿った見方をしている。市井の人々はあのプレスを傲慢と捉えたようだが、僕は傲慢の次にくる焦りだと感じた。
Appleに「次」はあるか
とどのつまり、「次」が見つけられないAppleは、とりあえずiPadをプレスで極限まで薄く伸ばしてみたということだ。それだけ聞くと、誰も求めていないレベルまで精度を高めることに血道を上げたどこぞの島国にあるメーカのようである。
実際、ちょっと危なっかしさはあるように思う。少なくとも人々はこれ以上板を薄くすることは求めていないだろう。またその性能は確かに上がっているかもしれないし、恒例の「まぁ広告はあれだったかもしれないけど性能は最高だよ!」というメディアの提灯記事をいくつか見たが、さてそれで何ができるようになったのかと言えばハッキリしない。レビューについてはWIREDの記事が比較的公平に思った(「M4搭載「iPad Pro」レビュー:薄く軽く高性能になったが、その利点がはっきりしない | WIRED.jp」)。
しかしまぁ、WWDCはこれからなので、WIREDの記事にもあるとおり、そこで発表されるiPad OSの内容次第ではわからない。
実際のところ、Appleのコアはエコシステムよりも、むしろそのベースにある素晴らしく統合されたハードウェアとOSではなかろうか。つまりiPhone/iOSであり、Mac/macOSであり、Apple Watch/watchOSそのものである。TV……?
目立たないが、Apple WatchはすごくAppleらしいし良いプロダクトだ……と言いつつ持っていない。僕が持っているのはWithingsとFitbitだ。だがApple Watchが業界に良い影響を与えていることは知っている。この規制で雁字搦めになった辺境の島国でECGの許認可を取る偉業を成し遂げたのはAppleだけだ。各国の事情に寄り添い泥臭いこともやってヘルスケアに入り込めるメーカは、Appleしかないと思う。あと決済分野では早い段階でSuikaに対応してくれたことも忘れていない。
iPhoneは今なお最強のスマートフォンだ。正直15年前は絶対Androidにやられると思っていた。しかし今なお、性能でもアプリでも、基本的なところでAndroidに2週くらい差をつけている。と言いつつ僕はAndroidを使っている。安くてそれで十分だから……。でもiPhoneも定期的にメインにしてるから、そのたびに「なんだかんだですげぇわ」って実感するんだよね。でも高いから使ってない(`・ω・´)
お前ここまで全然使ってないやんけという感じだがMacは使ってます脱Macしようとしたけど出来ませんでした買いましたM2 Pro Mac mini。AppleSiliconは革命だった。まぁちょっと高いのはそうだけど、Mac mini, Mac Studio, iMacはそれぞれ変えられないポジションについている。ラップトップならMacBook Airもなんだかんだで独自のポジション。一方でMacBook ProとMac Proはちょっと厳しい状況だと思う。まぁMacBook Proは可搬性があるプロユースではまだ戦えるものの、Mac Proはだいぶ厳しそうだなぁと思う。
PCについてはさすがに拡張性を捨てすぎているよなぁ。スマホとタブレットは拡張性を捨てていいが、PCには拡張性が必要だ。PCの役割を今一度思い出してほしい。クックの次には、もう少しPCをわかってくれる人をトップに据えてもらいたいものだ。
あとiPadこそなにげに最高のプロダクトだと思っている。毎日使っている。これこそ本当のパーソナルコンピュータだ。それだけに今の高級化路線は正直いただけない……そんなことはMacでやればいい。iPadはすべての人々に配られてこそ価値がある……薄くしなくていいから安くしてくれ……。いや無印iPadはリーズナブルではあるんだけどね。。タブレットがスマホ並に広まれば世界変わるのになぁ。
いずれにせよ、AppleがハードウェアとOSという自らの本業を忘れなければ、その未来を悲観するようなことはないと思っている。何しろ代わりになるものがない。AIブームには確かに乗り遅れているが、慌てて飛びつく必要はない。自分でAIをやらずとも、AIがAppleのハードとソフトの上で動けばいいんだ。っていうか動かせるようにしてくれ。余計なことはしないでくれ。
まぁなんか色々言ったけど、奇をてらった次なんかいらなくて、AIもどうでもよくて(個人的には期待のジャンルだけどさ)、Appleは最高のパーソナルコンピュータを作ってくれってことなんだ。
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