[最終更新] 2016年11月16日
IoTってよく聞けど何?という人向け
著者:小泉耕二氏(「当社代表 小泉耕二の拙書「2時間でわかる 図解IoTビジネス入門」重版出来 | 株式会社アールジーン|IoTの専門家集団株式会社アールジーン|IoTの専門家集団」)。2016年4月発行と、比較的新しいIoTの解説本です。ターゲットはなんとなくIoTってよく聞くけどなんだろう?という人たちと思います。本当に2時間かかりません。実際にRaspberry Piや小型シングルボードコンピュータにセンサをつけて、これを使ってなんかできんもんだろうかと考えている人だと、各論についてあまり得るところはないかもしれません。本書のモノを作って終わりではいけない、という提言は確かにその通りです。その通りなんです、が、それ、難しいですよね…。実装も難しいし、どういうニーズがあって、何を作るのか、という企画から、なかなか…。
おおまかな中身
印象として、けっこう、正直な本ではないかと。IoTの例でよく出てくるスマートロックや、何々が足りないですよと教えてくれる冷蔵庫のようなスマート家電があり、本書でもそれは例として取り上げられますが、それについて「でもそれ、お金出してまで欲しくないよね」と。それです。実際のサービスを考えてみると、どうも、なんだか地味というか、思ったほど面白くないなぁと感じてしまうんですよねぇ…。
また、冷蔵庫の例についてはさらにつっこんで、画像解析で何々がいくつあるのかをきちんと調べるのは技術的に難しいので、現実の実装としてはどこどこに何々を置くことをあらかじめ決めておくという具合になると考えられ、それって面倒臭い、と技術的・実際的なツッコミもあります。
そのうえで、前者のスマートロックについては、「でもたとえばアパートのオーナーさんだったら?」、冷蔵庫については「ドレッシングとか、いくつかの必需品だけでもわかるようにして、足りなくなったらボタン一つで配送できるシステムにしたらどうだろう?」と、一歩進んだ提案です。作るだけではダメで、実際のサービスまでこぎつけないといけない。
そうして、最終章では、自分の立ち位置を明確にして、異なる得意分野の仲間を作り、これまでにない新しいサービスを作り上げていこう、というように締めくくられます。
結局IoTって
結局、IoTとは、小型のセンシングデバイスと、ネットワークを使えば、面白いことができるんでは?ということを期待して作られた概念の言葉なんだと思います。概念は出てきているけれど、それを使って現実に私たちの生活を大きくかえるような、これぞIoT、というものはまだ出てきていない。多分、実際に出てきたら、それはIoTと言われないような気がします。
IoTについては、過去「IoT の期待感と現実 : 或る阿呆の記」という記事を書きました。この記事のとおり、私はIoTという言葉そのものには懐疑的なのです。が、中身には肯定的です。ユビキタスという言葉はもはや(一般的には)使われないけれど、間違いではないね、というような感覚です。IoTも、そうなるだろうと思っています。現実にすごいものが出たら、IoTじゃなくて、その実際の固有名詞が象徴的に使われるようになるのではないかな。まだまだ、始まっていない話です。閑話でした。
ところで、スマートロックは個人的にはすごく欲しいんです。仕事で鍵をもらうと、管理しないといけませんが、それがけっこう、おっちょこちょいな私にはつらい。スマホにsshの鍵登録をして、なくしたらその鍵の権限を外しておしまい、みたいなのが広まると、私はとてもとても嬉しいです。
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