最近仕事でレーザを扱っているので、まず光工学の入門書を読み漁っている。光は大学でも勉強しておらず、知らなくてはならないことばかりだ。
入門者はまず自分が何を知らないのかすら知らず、自分がどこにいるのかもよくわからない。ざっくりとでもいいから地図があれば、少しでも見通しがよくなるのだが……と思っていたところ、ある入門書で光を「3つの姿」に分けて説明しており、それが大層わかりよかった。
光の捉え方
仕事の関係でレーザをやりだしたため、急遽光工学の入門書を読み漁っている。なにしろ私のもつ光の知識といえば、ヤングの実験と光電効果くらいのものだ。つまりは高校レベルである。仕事で無線およびレーダー関係に携わってきたため、電磁波としての光は多少実践を通して学んではきた。だが、マイクロ波を超えると、使われる機材やら理論やらが大きく様変わりする。一から学ぶ気持ちでなければならないだろう。
光といえば粒子と波動の二重性が如実に顕現する分野である。私は不真面目な学生だったが(ご多分に漏れず、今になってもっとちゃんと勉強しておくべきだった悔恨している)、さすがに21世紀を生きる者としてそれくらいは知ってはいる。いるものの、あまりちゃんと考えたことはなかった。
そのせいか、光の勉強をしていると頭が混乱することしばしば。波の話をしていたかと思いきや急に粒子レベルの話になったりするからか。たとえばレーザの増幅原理では原子レベルの話をするが、そうして作られた光がファイバを通る時は屈折や全反射の話になり、ひとたび空間に飛び出たら、今度は回折、干渉と、話の次元がどんどん変わる。スッキリしない。一つ一つの話はわかるのだが、どうにも繋がらないのだ。
が、何冊か入門書を読むうちに、ある本の最初のほうで、光には「光線」「波」「粒子」の3つの姿があると説明され、それぞれ「幾何光学」「波動光学」「光の量子論」として展開されることを知った。これは私にとって非常にわかりやすく、この説明で一気に見通しがよくなった。
光線として捉えれば、直進、反射、屈折の話になるし、波として捉えれば、回折、干渉、おなじみマクスウェル方程式の話になろう。そして粒子として捉えれば、光電効果の話になる。特に「光線」と「波」を分けたことで、スッキリした。どうも、自分はここをゴチャゴチャにして考えていた節がある(「光線」は光を粒として捉えているが、直進性の説明に二次波源の考え方用いられることもありゴチャゴチャした)。
そういう目で他の本を読み直してみると、実はどの本でも同じようなことが書かれてはいた。だが、最初にハッキリと言ってくれねばわからない。わからないから入門者である(威張ることではない)。
この記事で取り上げた本
あまりに基本的なところで躓いていた自分には情けない思いだし、また自分の浅学ぶりをこうして書き記すのはちょっとつらいのだが、わかっていなかったのだから仕方がない。一つ一つ、しっかりと学んでいきたい。死ぬまで勉強だ。
ところで、今回の話の本は先日書評を書いた「『光学機器が一番わかる』書評、レンズと光学素子周辺の平易な入門書」である。
本書は主に光を光線として捉えた話、つまり幾何光学の話が中心。光学"機器"と銘打っているが、レンズと薄膜などパッシブな光学素子の話がハイライトであった。一応カメラや望遠鏡の話はちょろっとあるものの、応用例として雑多に取り上げられているものの一つ、という感が否めず。レーザや光ファイバの話もあるが薄いうえに、本全体の構成のまとまりを悪くしているように思えた……が、解説自体はわかりやすかったので、入門書の一つとしてオススメである。
レーザを取り扱う自分には少し外れていた(とはいえ受光には望遠鏡を使うのだから、やはり必要な知識ではある)が、レーザを学ぶ上では、光ファイバの入門書であるが、これは技術評論社の「図解 光ファイバ通信のしくみがわかる本」がわかりやすかった。
何故か新品はプレミアがついているが、中古ならほどほどの値段で購入できる。技術評論社は昔の本も電子化してほしいが、買う人はほとんどいないだろうし、やはり割に合わないのだろうか。
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