偏差値30台には理由がある

[最終更新] 2022年3月8日

先々月から、春から中学2年生になる甥の、オンライン家庭教師を頼まれて引き受けている。これはかなり億劫だったのだが、シングルマザーの姉が非常に苦労していることがわかるので、身内として何かしないわけにもいかないだろう、という気持ちだった。

しかしまぁ、普通に後悔している。こんなにもたいへんとは。いや、もう、勉強とかじゃないんだ。受験っていうレベルじゃねぇぞ

偏差値39という現実

先月模擬試験を受けさせてみたところ、ある程度覚悟はしていたのだが、本当に偏差値39なんて数字を見せられて、あるんだなと変な笑いが出てしまった。国語が少しだけよく偏差値50あったのだが(これはかなり意外だった)、他の科目は軒並み偏差値35-37程度。模試の成績表にのっていた適正高校について調べてみると、県下でもっとも偏差値の低い高校群だった。これ以下はない。

まぁでも、納得の結果ではあった。学力がすべてではないというが、偏差値30台となると、やはりそれなりの理由があると思う。甥はもうすぐ中学2年生と思えないほど人間的に未成熟であり、正直小学校中学年くらいの印象である。それ故に学力も精神年齢と相応のものになっている、という感じだ。

2秒でわかる嘘をつく

まったく、勉強を教えるどころではない。というか、勉強以前の問題である。特に辟易とするのは、嘘をつくところだ。それも2秒でわかる嘘を平然とつく。課題を提出させているのだが、少しでも油断するとすぐに誤魔化そうとする。

オンラインなので、やったところをスクショで出させているのだが、やっていない課題を忘れたフリして出さず、次の日には何食わぬ顔で昨日の分を飛ばしている。咎めると「順番がずれたけれどやっている」などと意味不明なことを言い出したので、ああこれは誤魔化しているなと確信し、いいから全部出せと強く迫ったら、ようやく渋々と全部出した。それは、「やっていないこと」を示すものだった。彼はやっていないことがわかるところだけ、見せなかったのだ。彼が明確な意図を持って、こちらを騙そうとしていたことは明らかであった。

だから僕は強く咎めたのだが、むしろここで慌てたのは彼よりも彼の母(つまり僕の姉)であった。彼の差し出したスクショは、彼が観念したということであり、明らかな誤魔化しの物的証拠なのだが、姉には多分それの意味するところがわからなかったのだと思う。彼が姉に何を言ったのかはわからないが、姉は「誤解があると思うから言い分を聞いてやって」と言い、急遽テレビ会議をした。

結論を言うと、何も誤解などなく、むしろだいたい僕の想像していたとおりの状況だったのだな、ということがよりわかるだけだった。

テレビ会議では、彼は僕から目を背けてムッツリと黙り込み、姉が「さっき私に言ったことを言えばいい」というが頑なに話さない。仕方がないから、こちらから「お前のしたことは俺にはわかっている。別に怒っているわけじゃない」としたうえで、なぜ彼が意図的に誤魔化したと言えるかを物的証拠を交えて時系列で説明した。それはなんだか金田一少年が犯人を追い詰める時のようで、とてもきまりが悪く、「これ全部言わなきゃダメ?」と僕が根を上げた。

ここに至って姉も本当に息子が誤魔化したかもしれないと思ったのかしらないが、なぜ、どうして、そうしたのかと息子を問い詰めていて、正直見ているこちらがいたたまれなかった。姉は行動はともかく、そこに至る理由こそが大事だと思っているらしい。それはそうかもしれないが、しかし、それはわかればの話だろう。「理由は自分でもわからないんだと思うよ」と僕は言った。

まぁとにかくこんなことはもうするな、と言い、それから2日ほどは一応ある程度課題をやっていたようだった(僕が求めた水準ではやっていないが、少なくともまぁいいだろうと思える程度には)。

同じことを繰り返す

その次の日に、週に一度のオンラインでの面談をして、次の課題も決めた。

いい加減に彼のパーソナリティもわかってきたので、確実にこちらが確認できるような課題と、その提出の仕方を考えた。分量もまぁこんなもんだろう。これならば、まぁ当面はおとなしくやるかね。

そう思ったが、なんと彼は、その日早速、またしても課題を誤魔化そうとしてきた。まず課題のスクショを提出しない。指摘すると、スクショを貼ったが、それは昨日貼ったスクショだった。昨日とまったく同じ画面を提出して、「やった」と言い出したのだ。これはさすがに僕もちょっと怒った。

電話をかけても出ないから、姉に言ってかけさせた。一時間ほど待たされた。電話口の彼は、少し笑っていた。「今やって出しました」見てみると、確かに新しく提出されていたが、微妙にやっていないところがあった。それを指摘すると、「今からやればいい?」と事も無げに言う。ああ、これはかなりまずいな、と思った。

彼は数分で課題を終えた。できるのだ、やれば。そりゃそうだ、できない課題は与えていない。むしろ、彼の言っていた現状の遙か先にある目標を考えると、全然足りないくらいだ(その距離の遠さを、彼はまだ理解していない)。

何も考えていないのだなぁ。すぐにわかる嘘をつく。その場限りの言葉。神妙そうな顔をしていても、実のところ、何とも思っちゃいない。だからここまで彼は、一言の謝罪も、詫びの言葉もない。ただ黙って、時々「うん」と言っていれば終わるでしょと言わんばかりだ。そして浅はかな嘘と誤魔化しを繰り返す。

勉強以前の、勉強より大切なこと

これは非常にまずい状況に思えた。偏差値30台は、その未熟な人間性の結果だとわかった。また、一生懸命の姉には申し訳ないが、やはり家庭の問題も考えないわけにはいかない(姉はひょっとすると、息子に対して引け目を感じている部分もあるのかもしれない。わからないけれど。難しい。本当に)。彼はその長いとは言えない人生の中で、非常に良くない学習をしてしまっている。

とにかく、嘘をつくよりちゃんとやったほうがいいと、これから学習しなければならない。幸いなことに、素直な面もある。やる気は感じられないが、ゼロではない。このままでは志望する高校には行けないということも理解したらしい。

だがしかし、現実に起きていることを思うと頭が痛い。

結局この二ヶ月でわかったことは、彼の言動は一切信用してはいけない、という悲しい現実だった。だから、ゼロトラストでかつオンラインでできるやり方を考えねばならない。結果、できることは非常に限られるし、また課題の確認のコストが非常に大きい。アホらしい。いったい僕は何をしているのだろうか。少なくとも勉強を教えているのではない。だが、勉強より大切なことだ。しかし、伝わるのか、伝えられるのか、これは。

まぁ曲がりなりにも二ヶ月こちらもアレコレ考えながら懸命にやったし、前述したように彼もまったくやる気がないというわけではないから、勉学面においては少しばかりの成果も実は出ている。また、以前よりも机に向かう時間が長くなったというのは事実として観測されている。

だが、そんなことは些末な話であると思う。本質的なところでは、何も変わっていない。というか、あまりにも本質的過ぎて、すぐに変わる類のものではない。

たいへんなことを引き受けてしまったなぁと、途方に暮れている。

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