円安が続いている昨今、色々あってドル円ロング(円売りドル買い)に落ち着いた僕はそれなりに利益が出ている状態だ。ここからさらに円安になる可能性があるが、さすがにここまで急激に安くなってくると当局もピリピリしているだろうし、またアメリカ大統領選の結果次第ではドル安方向に動く可能性もある。
まぁでもドル円ロング勢は基本的に現時点においては調子が良いので、FX楽しいなぁと資金を注ぎ込んでいたら、FX口座の資金がポートフォリオ全体の20%にまでなっていた。さすがにリスクが高すぎる。
色々なリスクもあるので、撤退、ないし縮小することにした。
FXにおける基本的な投資スタンス
僕はドル円ロング勢の中でも長期で保有するスタンスだ。もっといえば絶対損切りしないマンである。巷では損切りしないのは機会損失とか言うが、機会よりも金を損失するほうが嫌だ。これが個別株なら「倒産するまで心中する気か?」となるだろうが(まぁでも僕が個別株を買うときは本当に心中する気で買うと思う)、為替の場合は「まぁそのうち戻ってくるでしょ」と思える範囲というものがあるので、その範囲でやっている。
僕の基本的な考え方は「日本は衰退するので、数十年スパンでは結局円安になる」「政府の借金が重すぎて金利を上げられない」「なんだかんだでアメリカはやる」である。国力と通貨は関係ないと言うが、実際のところ通貨の価値が高い衰退国家なんて見たことがない。国家が衰退すれば、国家を後ろ盾にした法定通貨も結局は弱くなるのが道理だろう。そしてアメリカは確かに色々問題があるけれど、日本も含める諸外国と比べた時、一番資本主義ちゃんとやってる国であることも確かだと思う。資本主義ちゃんとやる限り、その国の資本は伸びると思っている。
もちろん最初からこのように考えてFXを始めたわけではない。色々やって損したり得したりを繰り返し、経済評論家の当たらない言説を見聞きしたうえで、自分が理解できる範囲で実際にやれる投資スタンスを確立しようとしたところ、ドル円ロング絶対損切りしない太郎というスタンスになった。だから、たとえ一時的に赤字が出たとしても、そのうち戻ってくるはずと信じてきた。また基本的に日本の金利はアメリカよりも低いので、スワップをもらえば心の慰めにもなる。
この考え方は少なくともここ10年はうまく機能した。ついでに言えばまだしばらくは機能すると思っている。ということで、大儲けこそできていないものの、小金は稼げている。
懸念1: 日米金利差の逆転
さて、日本は相変わらず日本であり、また今後も日本であり続ける可能性が高い。そうすると、悲しいことではあるけれど、国家としては衰退していく未来が見える。したがって、数十年スパンの円安自体は疑っていない。トランプが再選されてドル安政策が打ち出されれば、円高ドル安になることはあるかもしれないが、一時的なものだと思う。
一方で、金利差についてはちょっと怪しいかも、と思い始めている。まず金利は2.5%くらいまでは上がるかもな、と思う。なんで2.5%かというと、政府の債務の対GDP比が、日本はアメリカのだいたい倍くらいなので、金利のつらさも倍ぐらい、と考えると、アメリカが5%まで上げたなら日本もその半分まではやるかもなぁ、という程度の推論である。
世界の政府総債務残高(対GDP比)ランキング - 世界経済のネタ帳
で、その一方でアメリカが今後金利を一気に下げる展開もありえる。そうすると、日米の金利差逆転、というシナリオが見えてくる。
さらに、今後日本が「借金など知ったことか誰も日本円買わないから金利もっと上げる」みたいなことになる可能性もある。確率はかなり低いと思うんだけれど、日本政府も日銀も信用できない。
まぁいずれにしても、短期的にも長期的にも、ドル円ロング絶対損切りしないマンとして一番恐れるのは、日米金利差の逆転である。そうすると、マイナススワップで毎日お金が減っていくという、とてもつらい状況になるからだ。僕のクソ雑魚メンタルが、それに耐えられると思えない。変な判断をしてしまいそうだ。
懸念2: 一時的な円高、ロスカに怯えると身動き取れなくなる
もう一つ、短期的にはドル安円高が急激に進む可能性はあると思っている。その時、ちょっと想定以上に円高になる、ということは十分に考えられる。で、そうするとどうなるかというと、ロスカに怯えるようになる。これはコロナショックの時に実証済みだ。豪ドルが60円まで下がった時「あーーー今買ったら絶対儲かる!!」と思った。でも、同時に「このまま歴史上最安値を超えて下がると、最悪キャッシュが尽きてロスカされるかも。あるいは米株を下値で利確して回さないといけないかも」とも思った。フラッシュみたいなので45円くらいまで落ちる可能性も考えてた。
まぁ結果的には杞憂で、あれが底であり、あそこで豪ドルを買っていれば大儲けできていたわけだが、あそこで買わないスタンスだから生き残れているような気もしている。なので、資金を突っ込まなかった判断自体は間違えていなかったと思う。
とはいえ、あの段階でロスカの恐怖と戦わないといけない状況になってしまったのは、リスクを取り過ぎていたと反省している。まぁそれもあって、今はレバレッジ1.5倍程度(口座維持率1600%)だったりするわけだが、しかしそうは言ってもレバレッジはレバレッジ。ロスカに怯えるまでいかずとも、肝心なときに身動き取れなくなる、はかなり考えられる。僕のクソ雑魚メンタルが耐えられると思えない。
まぁつまりだ、レバレッジ自体が怖いんだな……。
懸念3: 法定通貨自体に対する不信
ここまで来るとちょっと陰謀論めいてくるが、僕は実のところドルも別に信用はしていない。アメリカはやるといったが、正確にはアメリカの民間企業はやるぞというだけで、アメリカ政府もたいがいひどいと思っている。というか政府というやつはどこもひどいようだ。平和な時代が続いたことで、国家の愚かさに歯止めをかけるものが少なくなった面もあると思う。
そうして歯止めのきかない人間が自由に発行できる通貨は、永遠に安くなる運命にある。もちろん懸命に運用できればその限りではないが、人間というやつは阿呆だということについてのみ信用できる。
ということで、世間一般の評価とは異なり、アルゴリズムで管理されているビットコイン(BTC)などの暗号通貨のほうが、信用に足るのではないか、と僕は思っている。みんな信用できるものに飢えており、少なくともビットコインは峠を越えたんじゃなかろうか。ポートフォリオに加えるだけの価値があると思う。
あと暗号通貨系は取引所のAPIが充実しているので、プログラムで遊べて楽しい、という個人的な事情もある。まぁでもBTCの投信ができたらそっちにいきたくなるかもなぁ。暗号通貨は税制がつらいすぎる……。
まぁここらへんは人に寄りけりだろうが、暗号通貨と言わずともゴールドやシルバーといった貴金属への投資は無難なところだろう。ゴールドは最高値を更新しまくっているが、長期的にはもっと上がる可能性は高いと思う。シルバーはゴールドよりは割安っぽい。
ただ実際買い方を考えるとETFとか投信になってしまうのだが、果たしてそれはゴールドを買っていると言えるのだろうか、とは思う。同じ事はBTCの投信にも言えるが……。
S&P500がヘッジにもなってる
あと僕のポートフォリオ全体で半分近くを占めているのがS&P500なんだが、これはまぁ結局のところドルやん、とも言える。なので、既にドルは十分持っている、とも考えられる。まぁ少なくともポートフォリオ全体でヘッジにはなっていると言えるだろう。実際S&P500が下がっていた時、それ以上に円が下がっていたので、円建てだと大して変化していなかったという。
撤退ないし縮小
まぁここにあげた懸念はすべて懸念のまま終わるかもしれないんだが、いずれにしても一昔前の僕ならいざ知らず、今の僕のポートフォリオでFX口座の資金が全体の20%というのは行きすぎだと思った。
なんだかんだでFXは楽しいので、完全撤退はしないかもしれないが、少なくとも全体の5%くらいまでには抑えようかな、と思っている。
コメント