トランプ追放運動というのは大袈裟かもしれないが、まぁそのように捉えてよいのではないだろうか。ホワイトハウスでの暴動事件に端を発した、Twitterによるトランプ大統領のアカウント凍結からの、さらにその過激な支持者御用達のプラットフォームであるParkerが、Google PlayストアとAppleストアから削除され、Web版さえAmazonのホスティングサービスから利用を停止された。Facebook(とついでにInstagram)もアカウントを停止しており、いわゆるGAFAが揃ってトランプ大統領とその支持者を自身のプラットフォームから弾き出した格好である。
個人的には民間企業に過ぎない彼らにその権利はあると思うが(とはいえプラットフォームには公共性があるとする判断もあるらしいので、法的にはもっと考えることがあるのだろう)、しかし今回のケースは、その力が巨大になりすぎないように法的な規制を加える論理的根拠になるかもしれない、とも思った。
美しい光景じゃないんですか?
今回の騒動を狂喜乱舞しているのは中国で、「香港では美しい光景だっていってませんでしたかー、美しい光景ってなんで言わないんですかー」って中国のネットユーザーはめっちゃ煽っているらしい。記事は忘れた。
で、これは確かに言われてみるとなるほどそうだなぁという話で、香港の民主化デモは体制側にしてみれば暴動以外の何者でもないわけだ。
また、アメリカ国内に関しても、たとえばBLMやらが街で大暴れしていた時、バイデン次期大統領がそれに対して民主主義の敵とか言っていたような記憶はない。
そうすると、結局のところ自分の考えに近い暴動はOKで、自分にあだなす暴動は民主主義の敵、ということになってしまい、これではとても説得力なんてないのはそうだよな、と思う。少なくとも中国寄りの人は、そらみたことか!と思っているだろう。
権利はあると思う
とはいえ、やっぱりプラットフォーマーには、ユーザーが自分のプラットフォームでのする振る舞いについて、規制をかける権利はあるだろう(と思うが、実際の影響力を考えてそんなことはない、とする意見・判例もあるらしい→https://twitter.com/doctors_mba/status/1348475902812958720 とはいえ、個人的には一プラットフォームがそこまで力を持ちすぎること自体がどうかと思うが…)。
恣意的とはいえ、たとえば「黒人は使用禁止」は恐らく許されないわけで、何かしら合理的に説明できる根拠は必要ではある。だからこそ、Twitterはなぜトランプを垢BANしたのかについて、この手のプラットフォームとしては比較的誠実にその意見を公表したわけだ(「Twitterがトランプ氏に対してついに永久停止処分を下した理由を説明 | TechCrunch Japan)。
とはいえ、やはりそれはリベラル陣営による恣意的な解釈だと思う。いわゆるトランプ派と呼ばれる人たちは、同じトランプの発言について、Twitterのような解釈はしていないだろう。その解釈に、思想に基づく恣意性があることは、やはり否定できない。
恣意的なプラットフォーマーが力を持ちすぎることの危険性
まぁ恣意的とはいえ、何かしらの基準が提示されているのであれば、それはそれで一つのあり方だとは思うが、そうすると、そんな恣意的なプラットフォーマーが、他のプラットフォーマーが入ってこれないくらい強大になってしまうのは、社会として不利益を被る、という風に考えられるだろう。
ということで、今回のBig Techの態度は、中長期的には自らの首を締める結果になるかもしれない。少なくとも、したたかな議員たちは、今回は味方側だから不問にしているが、実際腹の中ではいずれ自分たちに牙をむく可能性を考えているはずだ。
その規制が独占禁止法になるのかどうかは、法律に疎い俺にはよくわからんけれど、今回の事例は、中長期的には、巨大なプラットフォーマー、すなわちGAFAを始めとするBig Techを国が規制する理屈と根拠になるだろうな、という風に思った。特に今どきの人らにとっては、GAFAのプラットフォームがイコールWebくらいの人が多いのが実際だろうし(そのことについて、個人的には大いに思うところがあるのだが……)。
ところでMicrosoftの存在感がないが(!)、長らく独占禁止法と戦ってきた彼らは、今回の事態をどう見ているのだろう。もはや老舗の彼らは、GAFA、Twitterとはまたちょっと違う立ち位置にいるように思えるので、ちょっと気になる。
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