HPのMicroserverが逝ってしまいましたので、代替のサーバーを考えていましたが、今時LAN内で必要なサーバーといえばせいぜいファイルサーバーと、LAN内DNSくらいではないかという考えから、あまりアレコレと自宅サーバーを頑張る時代でもなかろうとNASを購入しました。
ReadyNAS 104 を買いました
NASの入門機として名高いNetgearのReadyNAS 104というマシンで、4台の3.5インチハードディスクを挿入出来ます。NASとして既に完成されており、手軽にハードウェアレベルでRAIDが扱えますし、あくまでNAS目的に組まれたマシンですから消費電力も控えめです。最初からTimeMachineサーバーとして機能することも魅力的。
なにより、内部的にはDebianであるらしく、究極的にはDebianで出来ることは大概出来てしまうようで、この自由度の高さは嬉しい誤算でした。NASなんていうのは、Webサーバー経由で簡単な設定の操作しかさせてくれまいと思っていたのですが、普通にsshでrootログインできてしまい、そんなに自由にさせてくれるのかと少し感動してしまいました。リソースに気をつけさえすれば、ちょっと遊べるLinuxマシンということで、これが2万円程度と考えると非常にリーズナブルです。
Macのファイル共有はちょっと鬼門
たいへん良いマシンを手に入れたと思いますが、マシンの問題とは別に、Macのファイル共有はなかなか苦労があります。一昔前の話を聞いていると、随分良くなったのではないかと思うのですが、それでも色々とハマりどころがあり、しかもデータという大事な資産に密接に関わってくるところですから、慎重にならなくてはなりません。
sambaがなにか遅い
SMBはファイル共有では定番のプロトコルであり、当然Macでもsambaが使用できるのですが、これが何故か妙に遅い。遅いというか、レスポンスが悪い。Windowsでは、まるでローカルのファイルのように扱えるのに、Macではフォルダを開くだけでもワンテンポ遅れが生じることがままあります。ファイルの転送速度も微妙なもので、まぁそれでも大きなファイルであれば10MB/sくらいは出ているようなのですが、有線LANのギガビットイーサネット、もっと速度が出ても良いのではないかと思います。きちんとチューニングすればもっと早くなるのではないかと思うのですが、sambaの設定は不勉強で、どうしたらよいものか、なかなか難しいです。
表示のレスポンスについては、ファイラの問題も、あるのかもしれません。私はMac用二画面ファイラの定番ForkLiftを愛用していますが、標準のFinderよりもsamba経由だと表示に若干時間がかかるようです。
(追記)ある程度解決しました「MacとReadyNAS 104の通信速度が遅い時の対処法(SMB)」。それでもWindowsに比べるとレスポンスはちょっとひっかかりがあるのですが。
sshにおける濁点問題
Macはsshもデフォルトで使えますから、sambaを使わずともファイルのやり取りは可能です。先述した私の愛用するファイラForkLiftはsshにも対応している優秀なアプリで、使い勝手は良好。これが何故かsambaよりもレスポンスがよい。ファイルの転送速度もsambaと遜色ないか、心なしかちょっと早い。sshが早いというよりはsambaが遅いような気がしますが、まずまずといったところです。
ではsshを使えば良いではないかというと、これがまた問題があります。それは濁点の問題です。Macでは、ファイルシステムの仕様から濁点や半濁点が一文字として数えられます。たとえば「がぎぐげご」は「か゛き゛く゛け゛こ゛」です。WindowsやLinuxではそのように扱われません(参考「MacOSX - Mac OS X の NFD 問題での対策諸々 - Qiita」)。
ReadyNASはLinuxです。ですので、ファイル転送時に気をつけないと、非常に厄介なことになります。具体的には、端末やファイラからファイルは見えているのだが、いざ操作しようとすると「見つからない」と言われるという症状に見舞われます。これ、本当に面倒臭いです。
ファイル転送時にrsyncのiconvオプションを使えばこの問題は回避することができます(「rsyncでiconvオプションをつけると、deleteオプションの挙動が変わる?? : 或る阿呆の記」)。しかし、通常のscpでは何にもしてくれません。ファイルの転送にいちいちrsyncが必要とされるようでは、ちょっと使いづらいですね。
sambaを使えば、ちゃんと変換してくれるようで、少なくともこの濁点の問題で頭を悩ませる必要がないので、日常的にはやはりsshよりsambaのほうが使いやすいのです。
MacにおけるiSCSIのイニシエータの寂しい状況
sshよりsambaとはいえ、やはり速度がもうちょっとなんとかならないものだろうかと考えたところで、ふと思い浮かぶのはiSCSIです。ReadyNASは設定画面のタブに普通にiSCSIがあり、簡単にターゲットを作成してiSCSIを使用することが可能なのですが…。Macでは、iSCSIのイニシエータで実績のあるものが、1ライセンス$90したりします。「ReadyNASでiSCSIを利用する - @ビボーログ」には無料で頑張る方法もありますが、El Capitanだとどうにもうまくいきません。Yosemiteではうまくいくのでしょうか?「iscsi-osx/iSCSIInitiator · GitHub」なんてのもあったりしますが、情報が少なく果たしてどんなものやら。しかし広いネットの世界では頑張った人がいまして、「Mac El CapitanでDroboshare Dashboardを使ってiSCSIを無料で利用する 〜実践編 | Life is run!!」という記事を見つけました。なかなか手間暇かけて頑張っており、よくこんな方法見つけたなぁと思います(ネットでは本当に感心してしまうことがたくさん)。しかしながら、見るだけでなんだか面倒臭い。とりあえず、今はいいかな…という感じです。
一番楽なのは外付けハードディスクをつけること
とまぁこのような感じで、Macでのファイル共有は、昔に比べればかなり進歩しているだろうとは思うものの、なかなか苦労があります。身も蓋もない話ですが、一番楽なのは外付けハードディスクをMacに接続してしまうことです。
まぁでも、部屋からハードディスクを追い出して、部屋の外にファイルサーバーがある生活、というのも悪くないものです。まだ3TBのデータ転送がまったく終わっていないので、ハードディスクを部屋から追い出せていないのですが…(あと数日はかかりそう…)。
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